た行の用語

た行から始まる調査・法務の用語を、読みがなの順に並べています。用語名をクリックすると詳しい解説へ移動します。

収録8語

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3語

単純横領罪

他人から預かって管理している財産を、業務としてではなく個人の立場で自分のものにする犯罪のことです。

単純横領罪は、他人から預かって自分が管理している財産を、返さずに自分のものとして処分した場合に問われる犯罪です。刑法上の横領のうち、その財産を業務として管理する立場にない人の行為がこれにあたります。

詳しく解説

刑法は横領を3種類に分けています。自己の占有する他人の物を横領した場合が単純横領罪(刑法第252条第1項)で、法定刑は5年以下の拘禁刑です。業務上自己の占有する他人の物を横領した場合は業務上横領罪(刑法第253条)となり、法定刑は10年以下の拘禁刑と重くなります。占有を離れた他人の物を横領した場合は遺失物等横領罪(刑法第254条)です。

企業で発生する不正は、経理・出納・在庫管理など、財産の管理が職務に含まれる立場の従業員によるものが多いため、業務上横領罪として扱われることが一般的です。単純横領罪との線引きが問題になるのは、その従業員が本来その財産を管理する職務に就いていなかった場合や、たまたま預かっただけの場合です。

この区別は、役職名や肩書きだけで決まるものではありません。

実務上のポイント

  • どちらの横領にあたるかは、職務分掌や実際の担当業務の内容から判断されます。職務分掌規程・業務分担表・引継ぎ資料を保全してください。
  • 預かった経緯を示す資料(受領書・預り証・メールでのやり取り)は、管理していた事実の裏づけになります。
  • 単純横領罪の公訴時効は5年です(刑事訴訟法第250条第2項第5号)。起算点の判断は事案によって異なるため、方針を決める前に弁護士等の専門家にご確認ください。
  • 罪名の判断は捜査機関と司法に委ねられます。社内の初動としては、事実と金額を客観的な資料で固めることを優先してください。

探偵業届出証明書

探偵業の届出をした事業者であることを示す書面として、実務上使われている呼び方です。

探偵業届出証明書は、探偵業の届出を行った事業者であることを示す書面を指して、実務上使われている呼び方です。調査を依頼する側が、その事業者が届出を済ませているかを確かめる際の材料として使われます。

詳しく解説

「探偵業届出証明書」は、探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)の条文にも、同法施行規則の条文にも出てこない言葉です。条文にあるのは、第4条第1項の「届出書」と、第12条第2項の「標識」です。同法第4条第1項は、探偵業を営もうとする者に、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会へ届出書を提出することを求めています。

依頼者の側から届出の有無を確かめる手がかりとして、条文に定めのあるものが2つあります。1つは同法第12条第2項で、第4条第1項の届出をしたことを示す標識を営業所の見やすい場所に掲示し、あわせて公衆の閲覧に供することを求めています。もう1つは同法第8条第1項で、契約を締結しようとするときに、届出をした公安委員会の名称を含む事項について、書面を交付して説明することを求めています。

実務上のポイント

  • 契約前に交付される書面で、届出先の公安委員会名を確認します。説明が口頭のみで終わる場合は、書面の交付を求めてください。
  • 事業者のウェブサイトに掲示されている標識の内容と、書面の記載が一致しているかを見ます。
  • 営業所が複数ある場合、届出は営業所ごとです。実際に依頼を受ける営業所について確認します。
  • 届出の有無は、調査の中身の適法性まで保証するものではありません。何をどう調べるのかは、契約前の書面で別に確認してください。

探偵業法

探偵業を営む事業者の届出や、業務の進め方のルールを定めた法律のことです。

探偵業法は、探偵業を営む事業者の届出や業務上のルールを定めた法律です。正式名称を「探偵業の業務の適正化に関する法律」といい、2007年6月20日に施行されました。調査の依頼先を確認するための基準になります。

詳しく解説

探偵業を営もうとする者は、営業所ごとに、所在地を管轄する都道府県公安委員会へ届出書を提出しなければなりません(第4条第1項)。届出をした事業者は、届出をしたことを示す標識を営業所の見やすい場所に掲示します(第12条第2項)。

業務についてもルールが置かれています。契約の締結前に、提供できる業務の内容や対価の概算額などを記載した書面を交付して説明すること(第8条第1項)、契約時には調査の内容・期間・方法と報告の方法・期限を記載した書面を交付すること(同条第2項)が定められています。ほかに、調査結果を違法な行為に用いない旨の書面を依頼者から受け取る義務(第7条)、秘密保持義務(第10条第1項)、従業者名簿の備付け(第12条第1項)があります。

実務上のポイント

  • 依頼前に、営業所に掲示された標識を確認してください。契約前の重要事項説明書面には、届出先の公安委員会の名称が記載されます(第8条第1項第2号)。
  • 契約前の書面で料金の概算額と支払時期を、契約時の書面で調査の内容・期間・方法と報告の方法・期限を確認します。口頭の説明だけで着手しないでください。
  • 調査結果が違法な行為に用いられることを知ったとき、探偵業者は業務を行えません(第9条第1項)。依頼の目的は正確に伝えてください。
  • 探偵業者は探偵業務を他者に委託できません(第9条第2項)。再委託の有無と報告書の社内共有範囲もあわせて確認してください。

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3語

懲戒解雇

就業規則に定めた懲戒事由に該当する重大な違反を理由に、制裁として労働契約を終了させる処分のことです。

懲戒解雇は、懲戒処分のうち最も重い処分であり、重大な規律違反に対する制裁として労働契約を終了させるものです。横領や情報持ち出しの発覚時に検討します。

詳しく解説

懲戒処分を行う前提として、労働基準法は、制裁の定めをする場合にその種類と程度を就業規則に記載し(第89条第9号)、就業規則を労働者に周知させること(第106条第1項)を求めています。そのうえで労働契約法は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効になると定めています(労働契約法第15条)。

つまり、就業規則に該当条項があることと、その事案で最も重い処分を選ぶこととは、別々に検討する必要があります。争われる場面で問題になるのは、規定の有無よりも事実の固め方であることが多いといえます。

なお、労働者の責に帰すべき事由にもとづく解雇では、所轄労働基準監督署長の認定を受けて予告を要しないものとされています(労働基準法第20条第1項ただし書・第3項、同法施行規則第7条)。退職金の不支給や減額は、懲戒解雇の効力とは別に検討が必要です。

実務上のポイント

  • 処分を決める前に、事実を客観的な資料で固めます。本人の自認だけを根拠にすると、後から内容を争われます。
  • 本人への聞き取りは、資料の保全を終えてから行います。先に問い詰めると証拠の隠滅を招くおそれがあります。
  • 弁明の機会を与え、その内容と実施日を記録に残します。記録がなければ実施したことを示せません。
  • 過去の同種事案の処分内容と照らし合わせます。
  • 処分の有効性は個別の事情によって判断されます。決定の前に弁護士等の専門家にご確認ください。

懲戒処分

企業が就業規則にもとづいて、規律に違反した従業員に対して行う制裁のことです。

懲戒処分は、企業が定めた規律に違反した従業員に対して、就業規則にもとづいて行う制裁です。不正が発覚した場面で、どの程度の処分が妥当かという形で検討されます。

詳しく解説

処分の種類は企業ごとに異なりますが、けん責・戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇といった段階が設けられることが一般的です。労働基準法は、制裁の定めをする場合にその種類と程度を就業規則に記載し(労働基準法第89条第9号)、就業規則を労働者に周知させること(同法第106条第1項)を求めています。

労働契約法は、懲戒が、労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効になると定めています(労働契約法第15条)。就業規則の懲戒事由に形式的に該当することと、その事案でその重さの処分を選ぶこととは、別々に検討する必要があります。

なお、減給の制裁には労働基準法上の限度が定められています。1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされています(労働基準法第91条)。

実務上のポイント

  • 処分の重さを決める前に、事実を客観的な資料で固めます。本人の自認だけを根拠にすると、後から内容や任意性を争われることがあります。
  • 弁明の機会を与え、実施日・出席者・本人の説明内容を記録に残します。実施したことは、記録がなければ示せません。
  • 過去の同種事案での処分内容を確認し、均衡を検討します。
  • 処分の有効性は個別の事情によって判断されます。決定の前に弁護士等の専門家にご確認ください。

調査報告書

調査で確認した事実を、依頼者が判断に使える形にまとめて報告する書面のことです。

調査報告書は、調査によって確認できた事実を依頼者に報告する書面です。調査そのものではなく、この書面が実際の成果物にあたります。社内処分の検討、取引の可否判断、弁護士への相談の材料として使われます。

詳しく解説

探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)第2条第1項は、探偵業務を、特定人の所在または行動についての情報を収集する目的で実地の調査を行い、その調査の結果を依頼者に報告する業務と定めています。報告までが業務の範囲として条文に書かれています。

同法第10条第2項は、探偵業者に対し、探偵業務に関して作成し、または取得した文書、写真その他の資料について、その不正または不当な利用を防止するため必要な措置をとることを求めています。この義務の名宛人は探偵業者です。依頼者が受け取った後の取扱いは、社内の情報管理の問題として別に整理してください。

実務上のポイント

  • 事実と評価を分けて読みます。「いつ・どこで・何を確認したか」が事実であり、「不正の疑いが強い」は評価です。社内の決裁で使えるのは前者です。
  • 時系列で並んでいるかを確認します。日時・場所・行動が対応していない記録は、後から出来事の順序を再現できません。
  • 写真や記録に通し番号が付いているかを確認します。番号がないと、本文のどの記述がどの資料に対応するのかを示せません。
  • 受け取った後の共有範囲を決めてから開封します。社内で回覧された時点で、対象者に伝わる経路が増えます。
  • 提出先が決まっている場合は、着手前に伝えます。何を判断するための書面かによって、記録すべき項目が変わります。

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2語

デジタルフォレンジック

パソコンやスマートフォンに残る記録を、証拠として使える形で保全し分析する技術のことです。

デジタルフォレンジックは、電子機器に残った記録を、証拠として使える状態を保ったまま取り出して分析する技術と手順を指します。情報の持ち出しや会計データの不正操作が疑われる場面で用いられます。

詳しく解説

対象になるのは、削除されたファイルの痕跡、外部記憶媒体の接続履歴、メールの送受信、印刷の履歴、ファイルサーバやクラウドのアクセスログなどです。組み合わせることで、いつ・どの端末から・どの情報が扱われたかを時系列で示せる場合があります。

技術的な中心は、分析そのものよりも保全にあります。対象の記録をそのまま複製し、複製が元と同一であることを示す値(ハッシュ値)を記録したうえで、分析は複製に対して行います。元の機器を直接操作すると、ファイルの更新日時などの状態が変わり、後から「変えていないこと」を示せなくなるためです。

また、機器の電源を切ることで失われる情報もあります。何を優先して保全するかは、疑われている行為の内容によって変わります。

実務上のポイント

  • 発覚した時点で、対象の端末の操作を止めてください。中身を確認するためにファイルを開く行為が、状態を変えてしまいます。
  • 端末を本人に返却したり、初期化して再配布したりしないでください。退職時の端末回収は、初期化の前に保全します。
  • 保全の対象は業務用端末だけではありません。ファイルサーバ、メールサーバ、クラウドサービスの操作履歴も含めて検討してください。
  • 保存期間の短い記録から着手します。防犯カメラの映像やアクセスログは、放置すれば上書きされます。
  • 私物の端末は、会社が貸与した端末とは扱いが異なります。取得の可否は、着手する前に弁護士等の専門家にご確認ください。

デューデリジェンス

買収や提携、大口取引を始める前に、相手企業の実態とリスクを事前に調べる手続きのことです。

デューデリジェンスは、M&Aや資本提携、大口の取引を始める前に、相手企業の財務・法務・事業の状況を調べ、想定していなかったリスクがないかを確認する手続きです。法律で定められた制度ではなく、実務のなかで確立してきた進め方であるため、どこまで調べるかは案件ごとに判断されます。

詳しく解説

調査する領域ごとに、財務・法務・税務・事業・人事・ITなどに分かれます。一般的には、決算書・契約書・登記情報・許認可・訴訟の有無といった書面で確認できる情報を、公認会計士や弁護士が精査する形で進められます。

ただし、書面で確認できるのは相手が開示した情報と公開情報に限られます。登記上の本店に事業実体がない、役員が別会社で問題を起こしている、資本関係の背後に別の実質的な支配者がいるといった事情は、書類だけでは把握しにくい領域です。書面の精査を補うために、現地での確認や関係者への確認を組み合わせる進め方が取られることもあります。

実務上のポイント

  • 何を調べるかを決める前に、この取引で最も避けたいリスクを言語化します。調査範囲は目的から逆算して決めます。
  • 開示資料の精査と、実地での事実確認は目的が異なります。両方を組み合わせないと、書面上は問題のない相手のリスクを見落とします。
  • 相手に不信感を与えない進め方を先に設計します。確認の順序と伝え方は、交渉そのものに影響します。
  • 取引開始後も相手の状況は変わります。一度の調査で終わらせず、定期的に確認する体制を検討してください。

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