さ行から始まる調査・法務の用語を、読みがなの順に並べています。用語名をクリックすると詳しい解説へ移動します。
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さ
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採用調査(バックグラウンドチェック)
採用の選考にあたって、応募者の申告内容や経歴の裏づけを確認することをいいます。
採用調査は、バックグラウンドチェックとも呼ばれ、応募書類や面接での申告に裏づけがあるかを確認する手続きです。実施にあたっては、法令の定めと国が示す考え方の双方に配慮が必要とされています。
詳しく解説
職業安定法第5条の5第1項は、求人者や労働者の募集を行う者などが求職者等の個人情報を取り扱うにあたっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、当該目的を明らかにして収集し、収集の目的の範囲内でこれを保管し、使用しなければならないと定めています。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでないとされています。個人情報保護法も、利用目的をできる限り特定することを求めています。
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」として、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力に基づいた基準により行うことの2点を挙げています。また、採用選考時に配慮すべき事項の一つに「身元調査などの実施」を挙げています。どこまでが適性・能力の確認にあたるかは個別の判断になるため、実施の可否と範囲は弁護士等の専門家にご確認ください。
実務上のポイント
- 何を確認するのかを、募集職種の職務内容との対応で先に文書にします。目的が言葉になっていない調査は、範囲を説明できません。
- 本人の同意は書面で取り、収集する項目・利用目的・保管期間を明記します。
- 確認できた事実と、そこから受けた印象は分けて記録します。混ぜると、何を根拠に判断したのかを後から示せません。
- 情報の出どころを1件ずつ残します。公表資料か、本人の提出書類か、聞き取りかで、確認の重みが変わります。
- 取得した情報の保管期間と閲覧できる担当者の範囲を、着手前に決めておきます。
詐欺罪
人を欺いて財物を交付させたり、財産上の利益を得たりする犯罪のことです。
詐欺罪は、相手を欺いて財産を渡させる行為について問われる犯罪です。企業実務では、代金を支払う意思がないまま商品を仕入れる取引先の問題や、社内での架空請求・水増し請求が疑われる場面で出てくる言葉です。
詳しく解説
刑法第246条第1項は、人を欺いて財物を交付させた者を10年以下の拘禁刑に処すると定めています。同条第2項は、前項の方法により財産上不法の利益を得た者、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とすると定めています。
企業間の取引で実務上の課題になるのは、当初の説明と実際の履行が食い違ったときに、その経緯をどう確認するかです。取引の当初から支払う見込みがなかったのか、事業がうまくいかず結果として支払えなくなったのかは、外形からは区別がつきません。どちらにあたるかの判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。
実務上のポイント
- 契約前後のやり取りをすべて残します。メール、チャット、名刺、面談の記録は、相手が当初どう説明していたかを示す資料になります。
- 発注量と支払状況の推移を時系列で並べます。少額の取引を期日どおりに決済し、取引額が上がった直後に支払が止まる流れは、記録として残す価値があります。
- 相手の事業実体を確認します。所在地・稼働状況・役員の他社での関わりは、契約書からは分かりません。
- 支払が滞った時点で、督促と相手の回答を書面で残します。口頭のやり取りだけでは、当時の説明内容を後から示せません。
し
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証拠能力
詳細解説集めた資料や記録を、裁判で証拠として取り調べてもらえるかどうかという資格のことです。
裁判で証拠として取り調べてもらえるかどうかという、資料の資格を指します。民事訴訟では証拠能力に原則として制限がないとされますが、実務で問題になるのは、その資料が改変されていないこと、いつ誰がどう入手したかを説明できることです。証拠能力と証明力の違い、社内で集めた記録を裁判で使える形にする方法は、詳細ページで解説します。
情報漏洩
社内で管理していた情報が、社外へ持ち出されたり流出したりすることをいいます。
情報漏洩は、企業が管理していた情報が社外へ出てしまうことを指す言い方です。外部からの攻撃によるものと、従業員や退職者が持ち出すものがあり、企業実務では後者の比重が大きい類型です。
詳しく解説
漏れた情報の中身によって、その後に関わる法令が変わります。個人データが含まれる場合は、個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)に、個人データの漏えい等のうち個人情報保護委員会規則で定める事態が生じたときの、同委員会への報告と本人への通知について規定が置かれています。すべての漏えいが報告の対象になるわけではなく、対象となる事態は規則で定められています。技術情報や顧客名簿が営業秘密にあたる場合は、不正競争防止法による差止めや損害賠償の対象になり得ます。
実務で重要になるのは、何が・いつ・どの経路で出たのかを早い段階で確定させることです。この確定ができていないと、報告の要否も、相手への請求の可否も判断できません。報告や通知の要否と時期は法令の定めによるため、事実確認を理由に対応を先送りにはできません。
実務上のポイント
- 最初に行うのは端末とアカウントの保全です。電源を落とす、初期化する、貸与端末を返却させて再配布するといった対応は、痕跡を失わせます。
- ログの保存期間を確認します。メール送信ログ、クラウドストレージの操作履歴、外部記憶媒体の接続履歴は、保存期間が短いものから順に押さえます。
- 退職予定者の場合、退職日の前後で権限が変わります。権限の変更履歴そのものが、持ち出しの時期を絞る材料になります。
- 本人への確認は、記録の保全が終わってから行ってください。順序が逆になると、確認できたはずの痕跡が失われます。
証明力(証拠力)
その証拠によって、争いのある事実をどこまで認められるかという証拠の価値のことです。
証明力は、証拠が事実の認定にどれだけ役立つかという価値を指す言葉です。証拠として取り調べられるかどうかを扱う証拠能力とは別の問題で、社内不正では「資料はあるが決め手にならない」という形で表面化します。
詳しく解説
刑事訴訟法第318条は、証拠の証明力は裁判官の自由な判断に委ねると定めています。民事訴訟法第247条も、裁判所が口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断すると定めています。どの資料をどれだけ重く見るかは、あらかじめ決まっているわけではありません。
書面については、民事訴訟法第228条第1項が、文書はその成立が真正であることを証明しなければならないと定めています。同条第4項は、私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定すると定めています。誰がいつ作った書面かを示せるかどうかが、資料を扱ううえでの出発点になります。
実務上のポイント
- 証拠能力と証明力は分けて検討します。使える資料であることと、その資料で事実を示せることは一致しません。
- 記録には作成日と作成者を残します。あとから清書した資料は、いつ書かれたものかを説明できません。
- 1つの事実を、出どころの違う複数の資料で支えます。日報・入退室記録・通信記録が同じ時刻を指していれば、説明の筋道が通ります。
- 調査報告書は、確認できた事実と、そこからの推測を段落で分けて書きます。混ぜて書くと、報告書全体の扱いが慎重になります。
- 写真・映像は、撮影日時と撮影場所が特定できる形のまま保存します。ファイル名を付け替えると、元の情報が失われます。
信用調査
取引の相手が支払能力を備えているかを、事前に調べて確かめる調査のことです。
信用調査は、取引を始める前や取引額を増やす前に、相手企業が代金を支払える状態にあるかを確かめる調査です。与信管理の判断材料をつくる工程にあたります。
詳しく解説
一般的に確認されるのは、登記情報、決算内容、支払の実績、取引金融機関、主要な取引先、事業所や設備の状況といった項目です。信用調査会社の報告書を購入する方法と、自社で照会・確認する方法が併用されるのが通例です。
ここで注意が必要なのは、確認できる情報の多くが過去の記録であるという点です。決算書は決算期の締め日時点の状態をまとめたものであり、入手できるのは確定を経た後になります。支払の遅れや資金繰りの変化は、書面に反映されるより先に取引の現場に現れることがあります。書面の情報だけでは、いま起きている変化を捉えにくい面があります。
実務上のポイント
- 調べる前に、この取引で許容できる損失額を決めます。金額が決まらないと、どこまで調べれば十分かも決まりません。
- 決算書は単年で読まず、3期分を並べます。売上や利益の水準よりも、在庫・売掛金・借入金の増減の向きが判断材料になります。
- 書面で分かることと、現地でしか分からないことを分けて考えます。所在地に事業の実体があるか、稼働している設備があるかは、書類には現れません。
- 取引開始後も相手の状況は変わります。支払サイトの変更依頼、担当者の頻繁な交代、連絡の遅れは、再確認に入る合図として扱ってください。
せ
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窃盗罪
他人が管理している財物を、その人の意思によらずに自分のものとして持ち去る犯罪です。
窃盗罪は、他人の財物を持ち去った場合に問われる犯罪です。社内では、備品・商品・現金の持ち出しが疑われた場面で、横領との線引きが問題になります。
詳しく解説
刑法第235条は、他人の財物を窃取した者を窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めています。
刑法は、窃盗罪を「他人の財物を窃取した」場合として定めています。これに対し横領罪は、第252条第1項で「自己の占有する他人の物を横領した」場合と定められています。条文の書き分けは、その財物を誰が占有していたかにあります。同じ「会社の物がなくなった」という事実でも、条文上どちらが問題になるかは、この点によって変わります。どちらにあたるかは事実関係によって判断されるため、社内で結論を出さず、弁護士等の専門家にご確認ください。
実務上のポイント
- まず、その財物を誰が管理していたかを示す資料を揃えます。鍵・入退室権限の管理表、在庫の受払簿、貸与物の受領書が該当します。
- 「なくなったこと」と「持ち出したこと」は別に立証します。棚卸差異だけでは、いつ・誰が持ち出したかを示せません。
- 防犯カメラの映像は保存期間が短く、上書きされます。疑いを持った時点で保存の手配を先に行ってください。
- 罪名の判断は捜査機関と司法に委ねられます。社内の初動は、罪名を決めることではなく、対象物・数量・時期を客観的な資料で固めることに向けてください。
そ
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素行調査
対象者の日常の行動や生活の実態を、一定の期間にわたって確認する調査のことです。
素行調査は、対象者が普段どのように行動しているかを、一定期間にわたって確認する調査です。企業からの依頼では、勤務時間中の行動、休業中の実態、副業や競業の有無、ハラスメント申告の裏づけといった目的で用いられます。
詳しく解説
企業が実施する素行調査は、対象者の私生活を無制限に調べるものではありません。探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)は、探偵業務にあたって人の生活の平穏を害するなど個人の権利利益を侵害しないようにしなければならないと定めています(同法第6条)。何をどこまで確認するのかは、依頼する側でも着手前に整理してください。
調査を業として行うには、営業所ごとに都道府県公安委員会への届出が必要です(同法第4条第1項)。また、契約前と契約時に、業務の内容・期間・方法や報告の方法・期限などを記載した書面の交付が定められています(同法第8条)。探偵業者以外への委託も禁止されています(同法第9条第2項)。
素行調査と混同されやすいのが内偵調査です。素行調査は対象者本人の行動を、内偵調査は社内不正の全体像を気づかれずに確認するものと整理されます。
実務上のポイント
- 調査を始める前に、何を確認したいのか、その結果を何に使うのかを決めてください。目的が定まらないまま始めると、資料が揃わないまま期間だけが過ぎます。
- 対象範囲と期間を限定します。範囲を絞らない調査は、後から目的との対応を説明できません。
- 報告書に取得日時・場所・方法が記録される形式かを、契約前に確認してください。日時と方法の記録がない報告書は、社内の説明にも社外での使用にも耐えません。
- 再委託の有無と、報告書を社内の誰まで共有するかを、着手前に確認します。
損害賠償請求
他人の行為によって生じた損害について、その賠償を相手に求めることをいいます。
損害賠償請求は、他人の行為によって生じた損害の埋め合わせを求める民事上の請求です。社内不正では、刑事の責任追及とは別に、失われた金額を取り戻す手段として検討されます。
詳しく解説
民法には、請求の根拠となる規定が2つあります。1つは不法行為による損害賠償で、民法第709条は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者が、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。もう1つは債務不履行による損害賠償で、民法第415条は、債務の本旨に従った履行がされない場合などに、債権者が損害の賠償を請求できると定めています。いずれの規定にもとづく請求とするかは、事実関係によって異なります。
なお、民法第724条は、不法行為による損害賠償の請求権について、損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間行使しないときは時効によって消滅すると定めています。「知った時」がいつにあたるかの判断は事案によって異なるため、方針を決める前に弁護士等の専門家にご確認ください。
実務上のポイント
- 請求できる金額は、証明できた金額です。「およそこのくらい」では足りません。1件ごとに、日付・金額・相手・裏づけ資料を対応させた一覧を作ります。
- 資料は原本の状態で保全します。会計システムの出力は、抽出条件と出力日時が分かる形で残してください。後から同じ表を再現できないと、数字を説明できません。
- 本人が事実を認めた場合、その内容は書面で残します。日付・署名のある書面と、口頭のやり取りでは重みが異なります。
- 刑事と民事は目的も進み方も別です。どちらを先に動かすかは、資料の揃い具合を見て決めます。
