あ行の用語

あ行から始まる調査・法務の用語を、読みがなの順に並べています。用語名をクリックすると詳しい解説へ移動します。

収録3語

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1語

違法収集証拠

違法な方法で集められた証拠を、裁判の証拠として使えるかどうかという問題を指す言葉です。

違法収集証拠は、集め方に問題がある証拠を裁判で使えるかどうかという論点を指します。社内で不正を調べる企業にとっては、「自分たちで集めた資料が後から無効にならないか」という形で現れます。

詳しく解説

刑事の手続と民事の手続とでは、証拠の取扱いの前提が異なります。民事訴訟では、証拠能力に原則として制限がないとされています。ただし、原則として制限がないことと、集め方が争点にならないこととは別です。どの資料を、いつ、誰が、どのような方法で取得したかを説明できる状態にしておく必要があります。

企業実務で見落とされやすいのは、証拠として使えるかどうかと、集め方そのものの責任を問われるかどうかが、別の問題だという点です。裁判で証拠として扱われた資料であっても、その取得の手段をめぐって、後から対象者との間で別の争いになることがあります。

判断の分かれ目になりやすいのが、会社の管理権が及ぶ範囲です。会社が貸与した端末や社有車と、私物の端末・私有車・自宅とでは、確認できる範囲の考え方が変わります。

実務上のポイント

  • 会社の管理権が及ぶ対象(貸与端末・社有車・社内ネットワーク)と、及ばない対象(私物端末・私有車・自宅)を分けて整理してから着手してください。
  • 業務用端末のモニタリングについて、就業規則や社内規程に定めがあるか、本人への周知がなされているかを確認します。定めがないまま実施すると、後から争われます。
  • 取得の方法と日時を記録に残します。適法に取得したことは、後から説明できなければ意味がありません。
  • 判断に迷う手段は、実施する前に弁護士等の専門家にご確認ください。実施してからでは、取得の方法を選び直せません。

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2語

営業秘密(三要件)

不正競争防止法が保護する情報のうち、秘密管理性・有用性・非公知性の三つを満たすもののことです。

営業秘密は、不正競争防止法によって保護される企業の情報をいいます。顧客名簿や設計データが持ち出されたとき、法的な保護を受けられるかどうかは、その情報が営業秘密にあたるかどうかで決まります。

詳しく解説

不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定めています。経済産業省が公表している「営業秘密管理指針」は、この定義を秘密管理性・有用性・非公知性の三要件として整理し、三要件すべてを満たすことが法にもとづく保護を受けるために必要になるとしています。

実務で問題になりやすいのは秘密管理性です。情報そのものに価値があっても、会社がそれを秘密として扱っていた事実を示せなければ、保護の対象として扱われない場合があります。誰でも開ける共有フォルダに置かれていた、社外配布資料に同じ内容が載っていたといった事情は、確認の段階で不利に働きます。

実務上のポイント

  • 持ち出しが疑われた時点で、持ち出しの事実よりも先に「どう管理されていたか」を示す資料を集めます。アクセス権限の設定、閲覧ログ、フォルダ権限の変更履歴が該当します。
  • 秘密である旨の表示、就業規則の該当条項、秘密保持契約と誓約書の写しを一式で保全します。秘密管理性は、事後に整備した資料では示せません。
  • 持ち出しの事実と、管理していた事実は別々に固めます。どちらか一方だけでは足りません。
  • 電子データは上書きと自動削除で失われます。端末とサーバーの保全は、本人へのヒアリングより前に行ってください。

営業秘密侵害罪

不正競争防止法が定める営業秘密を、不正な手段で取得したり使用・開示したりする行為に対する罪です。

営業秘密侵害罪は、企業が秘密として管理している情報を不正に持ち出し、使用したり他社に渡したりする行為に対する罪です。退職者による顧客情報の持ち出しが発覚した場面で検討されます。

詳しく解説

前提は、その情報が不正競争防止法上の「営業秘密」にあたるかどうかです。同法は営業秘密を、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています(不正競争防止法第2条第6項)。ここから、秘密管理性・有用性・非公知性の三要件として整理されます。

実務でもっとも争われるのが秘密管理性です。情報が重要であることと、秘密として管理されていたことは別に評価されます。アクセス権限の設定も機密表示もないまま誰でも閲覧できる状態だったなら、管理していたことを示す資料が残りません。

なお、同法には罰則のほか(第21条)、差止請求権(第3条)や損害賠償(第4条)といった民事の救済も定められています。刑事と民事では求められる資料の水準が異なります。

実務上のポイント

  • 秘密として管理していた事実を示す資料を保全します。アクセス権限の設定履歴、機密表示のルール、持出し制限の規程、周知記録が該当します。
  • 持ち出しの痕跡は上書きで消えます。アクセスログ、外部媒体の接続履歴、メール送信履歴、印刷履歴は、保存期間の短いものから保全します。
  • 退職者の事案では、退職後の勤務先や関与先の実態確認が必要です。社内の記録だけでは使用や開示の事実に届きません。
  • 営業秘密にあたるかも、罪が成立するかも個別の事情によって判断されます。社内で結論を出さず、弁護士等の専門家にご確認ください。

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