な行の用語

な行から始まる調査・法務の用語を、読みがなの順に並べています。用語名をクリックすると詳しい解説へ移動します。

収録3語

各用語の「詳しく読む」でも個別に開けます。

3語

内偵調査

不正の疑いがある人物に気づかれないよう、社内外から事実を確認していく調査のことです。

内偵調査は、対象者に調査の存在を気づかれないまま事実を確認していく進め方を指します。社内不正が疑われる場面で、いきなり本人に確認するのではなく、先に事実関係を固めるために用いられます。

詳しく解説

内偵という進め方が必要になる理由は単純です。調査が始まったことを対象者が知ると、記録の削除、資料の持ち出し、関係者との口裏合わせが起こり得ます。防犯カメラの映像やシステムのログは保存期間が限られているため、時間の経過そのものが証拠を失わせます。

社内で行うヒアリング中心の調査との違いもここにあります。ヒアリングは対象者や周囲に調査の存在を知らせる行為です。内偵は、外形的に確認できる事実を先に積み上げ、ヒアリングを最後に置く進め方といえます。ただし、内部通報を起点とする事案では、公益通報者保護法にもとづく社内手順が別にあります。自社の規程を先に確認してください。

一方で、内偵であれば何をしてもよいわけではありません。会社が貸与した端末・社有車・社内ネットワークと、私物の端末・私有車・自宅とでは、確認できる範囲の考え方が異なります。着手する前に、就業規則や社内規程の定めを確認して切り分けてください。

実務上のポイント

  • 調査の存在を知る人数を最小限にします。社内で共有する範囲を、着手前に文書で決めてください。
  • 記録の保全を最初に行います。ログ・映像・入退室記録は、保存期間の短いものから着手します。
  • 対象者の業務環境に変化を作らないでください。権限の変更や配置転換は、調査を察知させる典型的なきっかけになります。
  • 内偵の終期と、ヒアリングへ移る判断基準を最初に決めます。基準がないと、確認が終わらないまま期間だけが延びます。

内部通報制度

社内の不正について、従業員などが報告できる窓口と対応の仕組みのことです。

内部通報制度は、社内で起きている不正を、従業員などが会社に報告できるようにする仕組みです。公益通報者保護法が、事業者のとるべき措置を定めています。

詳しく解説

公益通報者保護法第11条第1項は、公益通報を受け、調査を行い、是正に必要な措置をとる業務に従事する者を定めることを事業者に求めています。同条第2項は、公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備その他の措置をとることを求めています。同条第3項は、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者について、これらを努力義務とする旨を定めています。措置の内容が変わるものではありません。

同法第12条は、公益通報対応業務従事者に対し、その業務に関して知り得た事項であって通報者を特定させるものを、正当な理由なく漏らしてはならないと定めています。同法第21条は、これに違反した者を30万円以下の罰金に処すると定めています。また同法第3条は、同条各号に定める公益通報をしたことを理由とする解雇を無効とし、同法第5条は、同じ公益通報を理由とする降格・減給その他の不利益な取扱いを禁じています。

実務上のポイント

  • 通報を受けたら、調査に着手する前に、通報者が特定される経路を洗い出します。通報内容をそのまま関係者に伝えると、通報者が推測されることがあります。
  • 誰がその事実を知り得たかを、通報内容から逆算します。知り得た人数が少ない情報ほど、扱いを慎重にします。
  • 記録の保全を、関係者への聞き取りより先に行います。順序が逆になると、対象者が通報を察知します。
  • 通報の受付、調査、処分の判断は担当を分けます。同じ担当が通しで行うと、通報者の保護と事実確認の両方が損なわれます。

内容証明郵便

いつ、どのような内容の文書を、誰から誰あてに差し出したかを郵便局が証明する制度のことです。

内容証明郵便は、差し出した文書の内容と差出日、差出人・宛先を郵便局が証明する制度です。不正を行った従業員や退職者に対して、返還や賠償を求める通知を送る場面で用いられます。

詳しく解説

郵便法は、内容証明の取扱いにおいて、その郵便物の内容である文書の内容を証明すると定めています(郵便法第48条第1項)。差し出された年月日は、郵便認証司が文書に記載します(同法第58条第1号)。証明されるのは、その内容の文書をその日に差し出したという事実であり、書かれている内容が正しいことを証明する制度ではありません。 相手に届いたことまでは証明されません。到達を記録に残すには、配達証明(同法第47条)を併せて付ける必要があります。

実務では、支払いや返還を求める意思を明確な形で残す目的で使われます。時効との関係で用いられることもあります。民法は、催告があったときはその時から6か月を経過するまで時効は完成しないと定め、その間の再度の催告に重ねての効力はないとしています(民法第150条)。送付だけで問題が解決するわけではありません。

内容証明郵便には字数・行数などの形式の決まりがあり、同じ文面を複数通用意する必要があります。

実務上のポイント

  • 送付する前に、主張する事実と金額の裏づけを固めてください。金額を誤って通知すると、後の交渉で不利に働くことがあります。
  • 配達証明を必ず併せて付けます。到達の記録がなければ通知したことを示せません。
  • 送付は、相手に事態を知らせる行為です。送付後に資料を処分されることがあるため、証拠の保全を先に済ませてください。
  • 文面は法的な意味を持ちます。作成にあたっては弁護士等の専門家にご確認ください。

この行の先頭へ戻る