覆面調査で分かる店舗の実態|不正・サービス品質の同時チェック

取引先の実態調査

「本部に上がってくる数字と、現場の実態が合っているかを確認したい」

「特定の店舗だけ売上が低い、クレームが多い。原因が不正なのか、サービスの問題なのかがわからない」

「覆面調査でサービスの確認と不正の確認を一度にやりたいが、どう組み立てればよいか」

覆面調査(ミステリーショッパー)は、一般の客として店舗を訪れ、実際の様子を記録する調査です。サービスの確認に使われることが多いものですが、売上の処理や現金の取り扱い、規程が守られているかの確認にも使われています。

本記事では、覆面調査でわかること、不正の確認への使い方、品質の確認とあわせて行う設計、調査の進め方、結果の活かし方を整理します。

個別事案で、記録した内容が処分や契約上の対応に使えるかは、事実関係と契約の内容によって異なるため、最終判断は弁護士に確認してください。

覆面調査でわかること

覆面調査は、本部が知らせずに行う、一般の客の目線での記録です。店舗のスタッフが見られていると意識していない状態の様子を確認できる点が特徴です。

確認できること具体的な内容活かし方
不正・規程違反レジの処理、レシートが発行されるか、現金の取り扱い、接客中の様子指導や処分の検討、契約上の対応の資料
サービスの品質言葉づかい、待ち時間、商品の案内、クレームへの対応教育や指導、店舗の評価への反映
衛生・設備の状況清潔さ、商品の管理の状態、設備の稼働、陳列や表示の状態衛生面の指導、改善の依頼、契約の内容が守られているかの確認
規程・マニュアルの遵守制服の着用、あいさつ、本部が指示した販促の実施加盟店への指導の根拠
競合との比較他社の接客・価格・品質の様子自社の強みと弱みの把握

不正の確認と品質の確認は、別々の調査にする必要はありません。1回の調査で両方を確認できるよう、項目をあらかじめ整理しておくと、費用を抑えられます。

不正発見への活用

覆面調査が役に立つのは、不正が疑われるものの、記録が手元にない段階です。巡回や電話での確認ではわからない、通常の営業の様子を確認できます。

覆面調査で発見できる不正の典型パターン

パターン覆面調査での確認の仕方残る記録
レジの処理による現金の持ち出し現金で支払い、レシートが発行されるかを確認する現金で支払ったがレシートが出なかったという事実の記録
サービスの提供内容と報告のずれ実際に提供された内容を記録し、後日の報告と照らす提供された内容の記録とメニューとの違い
廃棄の処理廃棄される商品の扱いを確認するその時点の状況の記録。廃棄の記録との照合に使う
本部が認めていない割引やサービス本部が承認していない値引きが行われていないかを確認するレシートの控え、提供された内容の記録
売上の計上漏れ客として注文し決済したうえで、本部のシステムへの計上を確認する決済した事実と、本部のシステムの記録の照合

不正確認に特化した覆面調査の設計ポイント

  • 時間帯と曜日を分けて実施する(担当する人によって状況が変わることがある)
  • 現金での支払いを使う(電子決済だけでは、現金の取り扱いを確認できない)
  • レシートを受け取る場合と受け取らない場合の両方を行い、発行の状況を確認する
  • 調査員の年代や人数を変えて行い、対応に違いがないかを確認する

記録を処分や契約上の対応に使う場合は、いつ、どこで、何を確認したかがわかる形で残しておくことが大切です。社内の担当者が個人的に撮影したものでも使えないわけではありませんが、撮影の経緯や目的の説明を求められることがあります。

なお、店舗の中は管理している人がいる場所です。撮影や録音を行うかどうかは、本部として許される範囲かを確認したうえで決めてください。他の客が写り込まないようにする配慮も必要です。

品質チェックとの同時実施

不正の確認と品質の確認を同じ調査で行うと、1回の費用で両方を確認できます。設計の段階で、項目を分けて整理しておくことが大切です。

同時実施チェックシートの例(飲食業)

区分チェック項目記録の方法
【不正確認】現金・レジ現金で支払ったあとのレジの処理/レシートが発行されるか/おつりの計算/レシートの内容が注文と合っているか会計のときに確認し、レシートを保管する
【品質確認】接客あいさつと言葉づかい/待ち時間/注文の確認/商品の案内/退店時の対応来店から退店まで、時系列で調査票に記録する
【品質確認】衛生・環境店内の清潔さ/手洗いの状態/提供された商品の状態/スタッフの身だしなみ調査票に具体的に記録する。撮影を行う場合は、範囲を事前に決めておく
【規程確認】加盟店の遵守制服の着用/本部が指定したあいさつ/販促物やメニューの設置/価格の表示本部の基準と実際の状況を照らす形で記録する

同じ調査員が両方を確認するため、注意が分散することがあります。どちらを重点にするかを事前に決めておき、重点の項目は確実に記録できるようにしてください。

調査設計の実務

覆面調査を役に立つ形で行うための進め方を整理します。何を確認したいかを決めたうえで、頻度・方法・評価の基準を決めます。

調査設計の4ステップ

ステップ内容ポイント
STEP 1 目的を決める不正の確認、品質の把握、規程の遵守の確認、競合との比較のどれを主な目的にするかを決める目的が複数ある場合は優先順位をつける。不正の確認が主なら、記録の残し方を中心に組み立てる
STEP 2 対象の店舗を選ぶ全店舗を定期的に行う、特定の店舗に絞る、疑いのある店舗を急いで確認する、のいずれか不正の確認が目的なら店舗を絞る。全店舗で行うと、店舗ごとの違いを比べられる
STEP 3 項目を決める不正の確認、品質の確認、規程の遵守の項目を調査票にまとめる。合計15〜30項目が目安項目が多いと注意が分散する。不正の確認は3〜5項目に絞っても、確実に記録する
STEP 4 頻度と回数を決める定期的に行う(月1回や四半期に1回)、不定期に行う、必要なときに行う実施していること自体を知らせると、日頃の行動につながる。記録を残すことが目的なら、知らせずに行う

結果活用の方法

報告書を受け取ったあと、どう使うかで調査の意味が変わります。読んで終わりにせず、次の対応につなげてください。

不正が確認された場合

  • 報告書を弁護士に確認してもらい、どのような対応がとれるかを整理する
  • 加盟店の場合:契約の内容にもとづいて、指導や契約上の対応を検討する。解除が認められるかは、契約の定めと違反の程度によって判断される
  • 直営店の場合:就業規則の定めと周知を確認したうえで、弁明の機会を設けるなどの手順を踏む
  • 複数の店舗で同じことが起きている場合は、個別の問題ではなく、管理の仕組みの見直しとして考える

品質問題が確認された場合

  • 評価が低い項目や店舗を特定し、指導の計画を立てる
  • 巡回での確認や、再調査の計画を立てる
  • よい取り組みをしている店舗の事例として、他店に共有する
  • 評価を表彰や目標の設定に取り入れる

結果の開示方針

調査の結果をどこまで店舗やスタッフに伝えるかは、目的によって変わります。

目的開示の方針期待できること
品質の向上・教育結果を店舗に伝え、よい点と改善点を具体的に共有する改善につながりやすい
不正の確認記録がそろうまでは伝えない。伝える時期は弁護士と相談して決める記録が失われることを防ぐ
日頃の行動につなげる調査を行っていること自体は伝え、結果は個別に対応する日常的な意識につながる

まとめ

覆面調査は、不正の確認とサービスの品質の把握を、1回の調査で行える方法です。記録の残し方を決めておくことで、その後の指導や契約上の対応にもつなげやすくなります。

  • 覆面調査でわかること:レジや現金の取り扱い、サービスの品質、衛生、規程の遵守、競合との比較
  • 不正の確認は、現金での支払い、時間帯を分ける、調査員を変えるといった形で行う
  • 品質の確認とあわせて行う場合は、項目を分けて、どちらを重点にするかを決めておく
  • 費用は目的や店舗数によって変わるため、見積もりで確認する
  • 結果の活かし方:不正が確認された場合は弁護士に相談、品質の問題は指導と再確認につなげる

特定の店舗が気になる、定期的に確認する仕組みを作りたいという段階でも、調査の組み立てからご相談いただけます。

関連記事:【事例】フランチャイズ加盟店の売上隠蔽|本部の対応記録

よくある質問(FAQ)

覆面調査を実施することを、店舗やスタッフに事前に知らせる必要はありますか?

知らせる義務はありません。覆面調査は、調査を意識していない状態の様子を記録することに意味があります。

加盟店との契約や社内の規程に、本部が品質の確認を行う旨を定めておくと、実施の根拠を説明しやすくなります。実施していること自体を伝えておく方法もあります。

覆面調査の報告書は、加盟店との契約上の対応に使えますか?

資料として使えます。ただし、契約を解除できるかどうかは、契約にどのような定めがあるか、違反の程度がどうかによって判断されます。

報告書は、一般の客として確認できる範囲で、適法に得られたものであることが前提になります。対応の進め方は弁護士に相談してください。

調査員が気づかれてしまった場合はどうなりますか?

その回の調査は、自然な状態の記録としての意味が薄くなります。複数回、複数の調査員で行うことで、1回の影響を抑えられます。

気づかれたときにどう対応するかも、事前に調査会社と確認しておいてください。

光武 眞依

光武 眞依

光武商事株式会社は、探偵事務所で7年の現場経験を積み、数百件の企業案件に対応してきた代表が、法人リスクに特化した調査・研修を提供するために設立しました。

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