素行調査とは?従業員の行動調査を依頼する前に知るべき費用・範囲・注意点
「営業先に直行すると言っていたのに、実際には別の場所にいた」
「退職後すぐに競合会社へ転職している可能性がある」
「勤務態度に違和感があるが、確証がない」
このような場面で検討されるのが“素行調査”です。
素行調査というと、浮気調査など個人向けのイメージを持たれがちですが、近年は企業による依頼も増えています。
特に、情報漏洩・競業行為・サボり営業・横領など、企業リスクの可視化を目的とした調査ニーズが高まっています。
一方で、調査のやり方を誤ると「違法な監視」と判断される可能性もあるため、調査範囲や法的な注意点を理解したうえで進めることが重要です。
この記事では、法人向けの素行調査について、依頼されるケースや費用相場、注意点までわかりやすく解説します。
素行調査とは?個人向けと法人向けの違い

素行調査とは、対象者の日常的な行動や接触先、移動状況などを調査し、事実関係を確認する調査です。
一般的には探偵事務所や調査会社が行い、尾行・張り込み・聞き込みなどの手法を用いて実施されます。
個人向けの素行調査
個人向けでは、以下のようなケースが代表的です。
- 配偶者の浮気調査
- 婚約者の身辺確認
- 子どもの交友関係の確認
プライベート領域の確認が中心となります。
法人向けの素行調査
一方、法人向けの素行調査は、企業活動に関わるリスク確認が目的です。
たとえば、
- 従業員の不正行為
- 営業サボり
- 情報漏洩
- 競業行為
- 横領・私的流用
など、“会社に損害を与える可能性のある行動”を確認するために行われます。
単なる「監視」ではなく、事実確認と証拠保全が重要な目的です。
法人が素行調査を依頼するケース5選

法人が素行調査を依頼する場面には、一定の傾向があります。ここでは代表的なケースを紹介します。
1. 営業サボり・勤務実態の確認
「外回り営業」と報告しているにもかかわらず、長時間私用で外出しているケースです。
特に、
- 車内で長時間休憩している
- パチンコ店や飲食店に頻繁に立ち寄る
- 実際には営業活動をしていない
といった状況は、会社側だけでは把握しにくいため、調査が行われることがあります。
勤怠不正や給与の不正受給につながる場合もあります。
2. 競業行為の確認
退職予定者や退職者が、競合企業へ情報を持ち出しているケースです。
例えば、
- 顧客情報を利用して営業している
- 在職中から競合企業で活動している
- 同業会社を立ち上げている
などが該当します。
競業避止義務違反や秘密保持契約違反の確認のため、行動調査が行われることがあります。
3. 情報漏洩・内部不正の確認
企業における情報漏洩は、単なる「データの持ち出し」だけではなく、
「誰に」「どのような目的で」「どこまで共有されたか」を把握することが重要です。
特に、退職予定者・営業担当者・管理職・システム担当者など、機密情報へアクセスできる立場の人物については、デジタルログだけでは実態を把握しきれないケースがあります。
例:退職直前の営業担当者による顧客情報持ち出し疑惑
ある営業社員について、
- 深夜に社内システムへアクセスしていた
- 顧客リストを大量にダウンロードしていた
- USBメモリの接続履歴が残っていた
という状況が確認されました。
ただ、この段階では「不自然な動き」が見えているだけで、実際に情報が外部へ渡った証拠まではありませんでした。
そこで行動調査を実施した結果、
- 退職後すぐに競合企業の担当者と接触
- 元顧客との面談を繰り返していた
- 資料らしき封筒やノートPCを持参していた
といった行動が確認されました。
その結果、
「情報へのアクセス」
↓
「持ち出しの疑い」
↓
「競合との接触」
という流れを、事実ベースで整理する材料につながったケースがあります。
このように、デジタルデータだけでは把握しきれない“実際の行動”を確認する目的で、素行調査や行動調査が行われることがあります。
4. 横領・経費不正の確認
経費申請や交通費精算に、不自然な点が見つかるケースです。
例えば、
- 出張報告と実際の行動が一致しない
- 架空訪問の疑いがある
- 私的利用の可能性がある
- 実際には訪問していない営業先を報告している
といったケースが該当します。
営業職や外出の多い職種では、行動確認が難しく、自己申告ベースで管理されていることも少なくありません。
そのため、実際の行動と報告内容にズレが生じている場合があります。
また、経費不正は一件ごとの金額が小さくても、継続することで会社に大きな損失を与えることがあります。
一方で、会社側の推測だけで不正と判断すると、労務トラブルへ発展する可能性もあります。
そのため、
- 本当に訪問していたのか
- 業務目的だったのか
- 報告内容と実際の行動に差があるのか
を客観的に確認するために、素行調査や行動調査が行われることがあります。
こうしたケースでは、調査結果が社内処分や返還請求の判断材料になることもあります。
5. ハラスメント・反社接触リスクの確認
管理職や役員クラスに関する調査が行われることもあります。
たとえば、
- 社外で問題行動を繰り返している
- 特定人物との不適切接触が疑われる
- 反社会的勢力との関係が懸念される
など、企業ブランドや取引リスクに直結するケースです。
特に管理職や役員は、会社の信用や対外的評価に与える影響が大きいため、問題が発覚した際のダメージも大きくなりやすい傾向があるでしょう。
また、内部通報や取引先からの指摘をきっかけに、事実確認のため調査が行われるケースもあります。
素行調査でわかること・わからないこと
素行調査には限界もあります。
「何でも調べられる」と誤解されがちですが、違法行為になる調査は実施できません。
素行調査でわかること
主に以下のような情報です。
- 行動ルート
- 立ち寄り先
- 接触人物
- 勤務実態
- 特定日時の行動
- 写真・動画による証拠
“実際にどう動いていたか”を客観的に把握できます。
→内部リンク:行動調査
素行調査でわからないこと
一方で、以下のような内容は原則として調査対象外です。
- LINEやメールの中身
- スマホの通信内容
- 銀行口座情報
- GPSの無断設置
- 住居侵入による撮影
これらは違法行為やプライバシー侵害に該当する可能性があります。
適法な範囲で調査を行うことが非常に重要です。
素行調査の費用相場(法人向け)
法人向けの素行調査費用は、調査内容や期間によって大きく変動します。
一般的な相場は以下の通りです。
| 調査内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 半日程度の簡易調査 | 5万〜15万円 |
| 1日尾行調査 | 10万〜25万円 |
| 数日〜1週間の継続調査 | 30万〜80万円 |
| 長期・複数名調査 | 100万円以上になることも |
費用に影響する主な要素は以下です。
- 調査人数
- 調査日数
- 調査時間帯
- 調査地域
- 調査難易度
- 車両・機材使用の有無
特に法人案件では、“証拠として使えるレベル”の報告書作成が求められるため、一般的な個人調査より高額になる傾向があります。
安さだけで選ぶと、
- 証拠能力が低い
- 調査が雑
- 違法手法を使われる
などのリスクもあるため注意が必要です。
素行調査を依頼する際の注意点(違法行為の境界線)
企業側が「従業員を調べたい」と考えていても、無制限に調査できるわけではありません。
特に重要なのが、プライバシー侵害との境界線です。
違法になり得るケース
例えば、
- 無断でGPSを取り付ける
- 私物スマホを解析する
- 自宅内を盗撮する
- 執拗な監視を行う
などは、違法と判断される可能性があります。
企業側が独断で行うと、逆に損害賠償リスクを負う可能性もあります。
「目的の正当性」が重要
法人調査では、
- 不正の疑いがある
- 就業規則違反が疑われる
- 損害発生リスクがある
など、調査の必要性・相当性が重要視されます。
「単なる興味」や「気に入らないから調べたい」という理由では正当化されません。
調査会社選びも重要
法人案件では、
- 法的リスクへの理解
- 報告書品質
- 弁護士連携
- 情報管理体制
などが非常に重要です。
単に“調べるだけ”ではなく、「その後どう活用するか」まで見据えた対応が必要になります。
報告書の活用方法(懲戒・是正・弁護士共有)
素行調査は、調査して終わりではありません。
重要なのは、得られた証拠をどう活用するかです。
懲戒処分の判断材料
例えば、
- 勤怠不正
- 営業サボり
- 就業規則違反
などが確認された場合、注意指導・減給・懲戒処分の判断材料として活用されることがあります。
ただし、調査結果だけで即懲戒解雇できるとは限りません。
処分の相当性や社内手続きも重要です。
弁護士との連携
以下のようなケースでは、弁護士と連携しながら進めることがあります。
- 損害賠償請求
- 競業避止義務違反
- 情報漏洩
- 横領
調査報告書は、法的対応の基礎資料として利用されることがあります。
社内改善につながるケースもある
調査によって、
- 管理体制の甘さ
- 勤怠管理の問題
- 情報管理の不備
などが明らかになるケースもあります。
そのため、単なる“不正摘発”だけでなく、再発防止や組織改善につながることも少なくありません。
よくある質問(FAQ)
素行調査を依頼すると、従業員本人にバレますか?
調査は慎重に実施されますが、調査対象の行動状況や環境によっては、気付かれるリスクがゼロとは言い切れません。
そのため、調査方法や実施タイミングを含め、事前の計画が重要になります。
どのようなケースで法人の素行調査が行われますか?
主に以下のようなケースで相談されることがあります。
- 営業サボり・勤怠不正
- 横領・経費不正
- 情報漏洩の疑い
- 競業行為の確認
- 就業規則違反の事実確認
「違和感はあるが、証拠がない」という段階で相談される企業様も少なくありません
素行調査で違法になるケースはありますか?
あります。
無断でGPSを取り付ける、私物スマホを解析する、住居侵入を伴う調査などは、違法と判断される可能性があります。
法人調査では、調査の必要性・相当性・適法性を踏まえて進めることが重要です。
調査報告書は懲戒処分や法的対応に使えますか?
ケースによっては、懲戒処分や弁護士相談時の資料として活用されることがあります。
ただし、調査結果だけで直ちに懲戒解雇が認められるとは限らず、就業規則・社内手続き・証拠内容などを総合的に判断する必要があります。
まとめ 法人向け素行調査は「適法性」と「証拠力」が重要
法人向けの素行調査は、従業員の不正やリスク行動を可視化する有効な手段です。
一方で、調査方法を誤れば、企業側が法的リスクを負う可能性もあります。
そのため重要なのは、
- 適法な範囲で行うこと
- 証拠として使える形で残すこと
- 調査後の対応まで見据えること
です。
光武商事株式会社では、法人向けの素行調査・行動調査・社内不正に関する事実確認支援に対応しています。
勤務実態の確認や、情報漏洩・競業行為・経費不正など、企業ごとの状況やリスクに応じたご相談が可能です。
- 「従業員の行動に違和感があるが、確証が持てない」
- 「懲戒処分を検討しているが、証拠が十分かわからない」
- 「営業サボりや勤務実態を客観的に確認したい」
- 「社内調査だけで進めるべきか悩んでいる」
- 「違法にならない範囲で慎重に事実確認したい」
このような段階からでも対応可能ですので、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
